2016/03/02

徳島大学 豊田哲也教授による講座(グローバルヘルス講座)

| by:G-Skill研究班

 平成28年2月22日(月)の3~4限目に,第1学年全員を対象に「グローバルヘルス(保健体育科)」の授業の一環として徳島大学総合科学部 豊田 哲也 教授をお招きし,講演会を行いました。豊田教授は,2年生の課題研究のアドバイザーも務めてくださっています。

 グローバルヘルスは従来の保健の授業にグローバルな視点(感染症や環境,世界的な健康問題等)を加えた城東高校独自の授業ですが,今回は「地域の所得格差は健康を損なうか」というテーマでお話いただきました。

 講演では,まずTED Talks(海外の著名な学者らの講演会)の2つの動画を見ました。
Hans Roslingの「The Best Stats You've Ever Seen」は,寿命と出生率の統計を元に,「今でも途上国は大家族で短命」という先入観を破壊する話です。
2つ目のRichard Wilkinsonの「How Economic Inequality Harms Societies」は,所得格差が人々の健康や信用に負の影響を与えることを世界各国のデータから明らかにするものです。所得が高くても,格差が大きい場合はその社会の人々は連帯感が欠け,ストレスをもたらし健康とは限らないという話は,意外に思った人も多かったのではないでしょうか。

 そしてその後,豊田先生の研究として,所得の地域間格差・地域内格差と健康(平均寿命)の相関関係の日本の都道府県版が紹介されました。徳島もどちらかというと所得格差が大きく,平均寿命が低いことが分かりました…!日本では,所得水準・地域内の所得格差と健康にはそれぞれ相関関係の傾向が見られるものの,これらは男性だけの特徴とのことです。
 単に,所得水準・所得格差と健康の関係を知れただけでなく,データを用いた研究や,健康問題というひとつのテーマを様々な角度から分析するおもしろさの伝わる講座でした。生徒たちの感想からもこのテーマへの驚きと関心がうかがえます。

(生徒の感想)・・・一部抜粋
 ・まず,TED talksのプレゼンテーションが,質がとても高くて面白かったです。私はこれまで,競争を繰り返し,お互いに高め合うことだけが社会の発展につながると考えていました。そして,それが現代の資本主義であり,間違った道ではないと思っていました。しかし,今回の話をきいて競争も度を超すと健康被害につながるという論があることに驚きました。自分にとって新しいパースペクティブからの話がきけたので,今回の講義は良い収穫になったと思います。

 ・思いもよらない斬新なテーマだったので,驚きもありとても面白かった。人々の健康のためには,社会の中での格差を是正していかなければならない重要性や必要性がリアルに迫ってくる内容だった。「個人」と「社会」との関係性,距離感を改めて考えていきたいと思った。「私たちに何ができるのか」ということに関する答えはとても難しいように思う。なので,まずはしっかりと考えることから始めていきたい。

 ・所得格差と健康や社会の問題を結びつけて考えようとするその発想にまず驚いた。そして,世界規模では所得水準と平均寿命に相関関係があまりないのに,国内(地域)で比べると相関関係があることに驚かされた。一見すると関係がなさそうな2つの事柄に結びつきがあるというのは面白いなあと思った。自分は発想が乏しくユニークな発想をするのは苦手だ。しかし,今回の講義を聞いて自分の研究をするためには,よそ見をしたり遠回りしてみたりすることも大事なのだなあと思った。他の問題も健康に関係があるのではと興味がわいた。


  
 


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